院長のコラム

健やかな老後の為に今から

たもり内科クリニック院長:多森 芳樹
2009年12月23日掲載

不老長寿は人類の夢ですが、容易な話ではありません。いつまでも元気で長生きしたいものですが、実際には、年老いてくると介護が必要になってくることがあります。人が介護を要する原因は種々ありますが、認知症・大腿骨頚部骨折・脳血管障害(脳卒中)が原因となるケースが多いです。

高血圧は生活習慣ときってもきれない関係

介護といわれても、皆様には、まだまだ先のことで想像もつかないことだと思います。しかし、脳卒中の危険因子である「高血圧」は生活習慣ときってもきれない関係があります。大人になって生活習慣を変えようとしても、なかなか難しいものです。子供の頃から、若いうちから、高血圧を予防する生活習慣を身につけることが大事です。

ヒトは塩を求めます。

昔、塩は貴重品でした。給料を英語ではsalary(サラリー)といいますが、この言葉の語源は、ラテン語のsal(塩)とされています。

動物が、水中生活から陸上生活に変化する時の命題は、「いかに塩分を体内に保持するか、」でした。陸上生活動物は、陸上で生活できる様、塩を体内に保つシステムを身につけました。

しかし、いつでも塩分を摂ることのできる現代社会においては、塩を求めることは、塩分の過剰摂取につながり高血圧をまねきます。

からだが必要とする塩分量は、どのくらいでしょうか?大人が一日に必要とするナトリウム量は600ミリグラム、食塩にすると1.5グラムに相当します。日本人の平均塩分摂取量は一日11グラム位ですからいかに日本人が塩分を摂りすぎているか、おわかりいただけると思います。

御家族のお食事はいかがでしょうか?塩分を摂り過ぎていないでしょうか?特にファーストフード・加工食品に塩分が多く含まれていて注意が必要です。味覚の基礎は家庭の味にあります。子供の頃から薄味に慣れることが、将来の脳卒中予防につながります。